眠れないときにいい曲ってなんだろう…
こんにちは!
今日は、バッハ:ゴルトベルク変奏曲をご紹介します。
私は中学生でクラシック音楽を好きになり、以来、30年間クラシック音楽を聴き続けています。
そんななかで、このバッハ:ゴルトベルク変奏曲は最も好きな曲であり、未だに何度も繰り返し聴いている曲となります。
人生で1,000回以上聴いたクラシックの曲というのが2曲あるのですが、そのうちの1曲がこのバッハ:ゴルトベルク変奏曲となります。
まさに、レコード盤が擦り切れるまで聴いた曲、となります。
曲の概要
百聞は一見に如かず、ということで、まずはこちらの演奏をご覧ください。
ゴルトベルク変奏曲は、チェンバロのために書かれた独奏曲です。
変奏曲というのは、ある一つのメロディを姿を変え形を変えて何度も演奏するスタイルの曲です。
全体的に、素朴でありながらテクニカルで、完成された小宇宙のような曲集です。
心が乱れているときにこの曲を聴くと、心が落ち着きます。
まるでピアノの調律をするかのように、心の周波数が正しいところに落ち着いていくのです。
高いセラピー効果があるのかもしれませんね。
変奏されているメロディ
ゴルトベルク変奏曲で変奏されているメロディはWikipediaに掲載されています。
すごく単純なメロディですね。
このメロディの上にいろいろなメロディやリズムが乗っかっていきます。
変奏曲のテーマを理解するために、冒頭の「アリア」を見てみましょう。
いい曲ですね。
この中で、一番低音部、いわゆる「通奏低音」と言われる部分が変奏のテーマとなります。
わかりやすいように、通奏低音部分をチェロに演奏させてみましょう。
このチェロの部分が変奏のテーマとなります。
そして、このテーマに基づく変奏曲がなんと全部で30曲も続きます。
喜びに満ちた曲から、悲しみに打ちひしがれるような曲まで、人生のあらゆるシーンを描ききっているかのようなバラエティに富んだ変奏曲集です。
すべての曲が魅力的です。
第30変奏〜最後の変奏曲
私が一番好きなのは第30変奏、最後の変奏です。
先ほどご紹介したテーマをもとに変奏されていることがわかりやすいように、チェロ付きの楽譜と音声も見てみましょう。
確かに同じテーマに基づいて変奏されていますね。
この同じベース進行、コード進行による演奏、まるでジャズみたいではありませんか?
この第30変奏は、当時流行していた流行歌をベースに変奏した曲とのことです。おおらかに人生の喜びを歌い上げるような曲調で、最後にふさわしく壮大な変奏曲となっています。
私はこの第30変奏を聴くと、バッハにこう言われているような感じがします。
「takくん、きみの人生にはいろいろなことがあったよね。楽しかったことや苦しかったこと、悲しかったことや嬉しかったこと。でも、大切なのは『今』だよね。さあ、みんな楽しそうに歌を歌っている。われわれも今を一生懸命生きようじゃないか」
この最後の変奏曲のあとに、冒頭に演奏された小さなアリアが戻ってくるのが本当に感動的なんですよね。
子供時代の楽しかった思い出が蘇るような気分になります。
おすすめ盤
この曲のおすすめ盤は2枚あります。
グレン・グールド 1981年録音盤
クラシック界で最も有名な録音の1つが、グレン・グールドによるゴルトベルク変奏曲の録音となります。
グールドは生涯に2回ゴルトベルク変奏曲を録音していますが、この81年盤は2回目の録音となります。
演奏にはいわゆる現代的なピアノが使われています。
この2回目の録音は、最初から最後まで、慈しむような演奏です。
大げさな表現はなく、純粋に音楽の声が聞こえてきます。
音を楽しむ、とはこのようなことを言うのかと思います。
録音はデッドな(響きが少ない)感じで、グールドの特徴でもあるアタックの強いピアノの生の音が耳に飛び込んできます。
グールドの生声もよく聞こえてきます。
世界で最も有名で偉大なピアニストの一人であるグレン・グールドは、この録音を残した1年後に亡くなりました。
ジャン・ロンドー (Jean Rondeau) 2021年録音盤
この人の映像を見て衝撃を受けました。
現在、私が最も注目しているクラシック音楽活動の1つは、オランダの「オランダ・バッハ協会」によるバッハ全曲録音、「All of Bach」というプロジェクトです。
バッハ全曲を高音質・高画質で録音して、YouTubeで配信するというものです。
その中で、ゴルトベルク変奏曲の演奏者として選ばれたのがこのジャン・ロンドーです。
過去にはヘビメタかパンクロックのギタリストのような髪型をしていましたが、このゴルトベルク変奏曲を演奏したときはヒッピーみたいなボサボサのロン毛の髪型をしていました。
奇抜な髪型のフランス人チェンバリストです。
外観とは関係なく、ロンドーのチェンバロの演奏は心に響いてきます。
作曲家の魂と、演奏家の心が一体となったような演奏を聴くことができます。
日本ではあまり有名ではないような気がしますが(特に日本のメディア等を追いかけていないので知りませんが)、本当にいい演奏家なので、ぜひ多くの方に注目してもらいたいと思います。
ちなみに、この記事の冒頭に掲げたYouTubeの演奏は、映像美も素晴らしいです。
思わず「こんな映像を撮りたい!」と思うような美しい映像になっていますので、そちらにもご注目ください。