これはトンデモ盤なんでしょうか…
こんにちは!
クラシックを愛するみなさんなら、これまでに1回くらいは「なんだこの演奏は!」と思った演奏がおありなのではないでしょうか。
私もいくつかそういう演奏に巡り合ってきましたが、その中でも一番(いい意味で)気に入っている演奏をご紹介したいと思います。
サンソン・フランソワ
サンソン・フランソワはフランスのピアニストで、1970年にはもう亡くなられています。
私はどうもフランスの鍵盤奏者が好きな(偏愛しがちな)ようです。
今も活躍されているピアニストのエレーヌ・グリモーや、チェンバリストのジャン・ロンドーなど、偏愛している演奏家が何人かいます。
そんななかで、このサンソン・フランソワは、わりとクラシックの通の間では有名な演奏家で、「フランソワが好きだ」と言っても「へ〜、いいピアニストだよね」となるような演奏家です。
特にドビュッシーやラヴェル、ショパンといった叙情的な作曲家の演奏の評価が高いと思います。
この演奏のトンデモなさ
さて。
それでそのフランソワが演奏したこのベートーヴェンの演奏なのですが。
まずもってそもそも、フランス音楽を得意としているフランソワがドイツ・オーストリアごりごりのベートーヴェンを演奏してわざわざ録音・発売したということ自体が驚きです。
ここに意図が感じられ、「俺は普通にはやらないからな」というフランソワの言葉が聞こえてきます。
そして、その演奏の内容は。
とにかく凄い!
なんだこのテンポの揺らし方は!
なんだこのフレージングは!
とにかく毎秒が驚きの連続です。
このCDには3曲収められているのですが、中でも白眉といえるのが真ん中の「月光」です。
ベートーヴェンのピアノ曲のなかでも屈指の知名度と人気をほこるこの曲。
あまり第3楽章まで知っている人は少ないかもしれませんが、とにかくこのフランソワの弾く「月光」の第3楽章は凄い。
何が凄いのかは聴いてみてください。
このようにベートーヴェンを解釈し、弾いたピアニストはその時代にいなかったと思いますし、現代においてもなかなかいないと思います。
そのくらい独特な演奏だと思います。
この演奏の良さ
そんなフランソワのベートーヴェンが好きか嫌いかと言われたら、
私はこの演奏が大好きです。
普段、ベートーヴェンといえばアラウやレーゼルといった王道的な(いや王道をバックハウスやケンプとするなら、やや王道から外れた)演奏を愛しています。
そんななか、いわゆる三大ピアノソナタと言われる「悲愴」「月光」「熱情」については、やや食傷気味なところもあり、あえて聴く機会は減っています。
しかし、このフランソワの演奏は別格です。
聴いていてとてもおもしろく、気持ちがいい。
なんていうか
自由を感じる
んですよね。
まとめ
ということで、おすすめです。
世の中にはもっとトンデモない盤があると聞きますが、私にとってのトンデモ名盤はこちらです。
もう一枚、大好きなエレーヌ・グリモーがやらかしたとしか思えない最近のトンデモ盤がもう一枚ありますので、いずれご紹介したいと思います。
それではまた!
なんでフランス人ピアニストに惹かれるのだろう