思わず2周読みました。
こんにちは!
ロードバイク好きなら必読と言えるロードバイク小説、「サクリファイス」(近藤史恵)シリーズ5冊を呼んだ感想を書きます。
「サクリファイス」シリーズとは
「サクリファイス」シリーズは、小説家の近藤史恵さんが書かれたロードバイク小説です。
2022年7月時点で、以下の5冊がシリーズとなっています。
ご覧いただくとわかるように、途中で主人公が別人になります。
また、3冊目に短編集が挟まっています。
読後の感想
読後の感想を一言でいうと、
「よくぞロードバイクを題材にここまで面白い小説を書いてくださった」
というものです。
ロードバイクの醍醐味はいろいろあると思いますが、このシリーズでは
「チーム競技であるロードレースにおける、アシストを務める人間の心境」
が丁寧に描かれています。
主人公の白石誓も山岳アシスト。
主人公が「アシスト」役というところに、深い味わいがあります。
私がロードバイクにはまるきっかけになった漫画「弱虫ペダル」では、主人公は山岳エースでした。
準主人公級のキャラも、オールラウンダーのエースだったり、スプリントのエースだったりと、少年漫画らしい、わかりやすいエース対決の構図がありました。
しかし、「サクリファイス」シリーズは、
エースが脇役で、アシストが主役
です。
エースが優勝しようが、敗退しようが、あくまでアシストの動きに焦点が当てられ続けます。
このあたり、大人向けの深い味わいのある作品だなと思いました。
シリーズ5冊目の「スティグマータ」では、
「ピークを過ぎて競技人生の終わりに近づきつつあるスポーツ選手の心境」
が丁寧に描かれています。
このあたりも明らかに大人向けの主題だなと思いました。
著者のロードレースに対する理解度も素晴らしく、毎年のようにグランツールをテレビ観戦し、実況の解説を聞いている私のようなロードレースファンが読んでも、なんの違和感もない描写がなされていました。
全体的に、非常に共感できるシリーズで、思わず2周読んでしまいました。
おすすめの読む順番
私は発行順に読んだのですが、3冊目の短編集「サヴァイヴ」に突入したときに、
「ん、ちょっと期待していたのと違うな」
と思いました。
山岳アシストの白石誓を主人公とした読み応えのある長編小説を期待していたところ、短編集だったので、ちょっとがっかりしたのです。
とはいえ、本の内容自体は非常に面白く、味わい深いものでした。
その後、4冊目で主人公が変わったときも、
「ん、ちょっと期待していたのと違うな」
と思いました。
山岳アシストの白石誓の物語が続くものだと思っていたところ、まったく違う主人公の物語だったので、ちょっとがっかりしたのです。
とはいえ、こちらも本の内容自体は非常に面白く、シリーズの中でも屈指の出来だとは思いました。
最後に、5冊目で主人公が元に戻ったとき、
「白石誓が帰ってきた〜♪」
と思いました。
そして、むさぼるように5冊目を読み終わり、
「ふう、満腹♪」
という気分になりました。
この経験をふまえ、私がおすすめする読む順番は、以下のとおりです。
「サクリファイス」
→「エデン」
→「スティグマータ」(ここまで主人公:白石誓)
→「サヴァイヴ」(白石誓と周辺の人の短編集)
→「キアズマ」(主人公:岸田正樹)
この順に読むことで、本シリーズのメイン主人公である「白石誓」の活躍を年代順にまっすぐ追えるようになります。
もちろん、発行順に読んでもなんの問題もありませんので、お好みでお選びください。
まとめ
「サクリファイス」シリーズは、ロードレースにおけるアシストの心境を主題とした、大人向けの非常に面白い小説でした。
多くのロードバイクファンの方に読んでいただきたいと思います。
味わい深かったです。